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不動産管理会社の管理料
【適正な管理料は?】

不動産管理会社の管理料について、ご相談を受けました。
税務調査の予定があり、その際に管理料について指摘をうけるかもしれない、とのことでした。
相続税対策として、不動産管理会社を設立する方法があります。
不動産管理会社を設立することで、オーナー1人に集中する不動産収入を不動産管理会社を通して役員に就任させた家族に分散させることで、各人の税額軽減を図ろうとするもとです。

不動産管理会社の方式には3つの方法があります。

1.管理料徴収方式

2.転貸方式

3.不動産所有方式

今回、ご相談を受けた方については、管理料徴収方式を採用していたようです。
管理料徴収方式を採用すると、不動産管理会社には、オーナーから管理業務の対価として管理料が支払われるのですが、この管理料が適正かどうか、が税務調査では問題になります。

管理料徴収方式の場合の主な判決・裁決事例は以下の通りです。


年分
当初申告における管理料割合
適正管理料割合
東京地裁
H元.4.17判決

S58
50%
6.10%
国税不服審判所
H元.7.5裁決

S59
約50%
6.64%
S60
約50%
6.62%
東京地裁
H6.1.28判決

S62
37.69%
4.98%
S63
35.89%
4.89%
H元
34.35%
4.50%

適正な管理料は賃貸収入の5%前後といったところでしょうか。
しかし、今回ご相談を承った方は、20%の管理料を受け取っているとのことでした。
上記適正管理料とは相当な乖離があります。
20%だから、即、否認というわけではありませんが、20%の管理料が適正であることを調査官が納得できるような説明を用意しておかないと、当然20%の管理料は認められないでしょう。


【不動産管理会社の方式】


そもそも、管理料徴収方式は、所得分散の観点からすると効果的な方法とは言えないのです。
分散の効果が薄いからです。
効果的な分散を図るのであれば、不動産所有方式を採用するべきです。
ところが、不動産所有方式にはデメリットもあります。
賃貸物件である建物を不動産管理会社に移転させるため、登記や不動産取得税等の費用がかかってしまうのです。
ただ、この程度の費用を負担しても効果が出るような不動産賃貸の規模でないなら、不動産管理会社を設立して所得分散を図る節税対策は控えた方が賢明でしょう。


【時代は常に変わっています】


管理料徴収方式を採用した場合における、適正管理料の割合が話題になったのはもう15年以上も前のことです。上記判決・裁決事例も平成元年~6年となっています。それ以前は、これらの管理料についてはオーナーのお手盛りで決定していた部分が多々ありました。
これらの判決等が公表されて以来、通常であれば顧問税理士が、判決等を考慮して管理料の見直し作業を済ませているはずですが、今回のご相談の方については、そのあたりの見直しがされていなかったようです。その結果、税務調査では数年遡っての修正申告となるでしょう。加算税、延滞税も課されますから所得によってはかなりの追徴税額となり得ます。

税法というものは、毎年改正があり、時によっては裁判の結果、それまで通用していたやり方がまったくの無意味となってしまうものです。
ですから、常にその動向には注目して、クライアントにはアナウンスしていかなければならないのですが、それができていない税理士がいることも事実です。

弊事務所のクライアント様においてはこのようなことのないようにしていきたいものです。

The Times They Are a Changin

余談ですが、このyoutubeのウォッチメンの導入シーンでの3分40秒くらいから始まるフラワーチルドレンのシーンは阿部和重『ピストルズ』のカバーを外すと出てくる
これを引用しているのですね。


不動産管理会社を活用するには埼玉県の関根盛敏税理士事務所まで
投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2010年09月09日) | PermaLink

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