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ダブル
【ダブル】

深町秋生の新著『ダブル』を読んだ。
深町作品にはことごとく目を通している。
『小説自殺マニュアル』『果てしなき渇き』『ヒステリック・サバイバー』『東京デッドクルージング』に続く本作は過去作品を圧倒的高みで凌ぐ傑作だった。

面白すぎて次の日も仕事だというにもかかわらず、深夜3時までかけて一気に読んだ。
クールジュピター(CJ)という新型ドラッグを巡るドラッグ組織とヤクザと警察の三つ巴の衝突、という内容。

ドラッグ組織の用心棒として辣腕をふるっていた主人公刈田誠次。
同じ組織に属するも、自らCJに手を出してはならない、という組織の掟を破ったCJジャンキーの弟を組織のボスに殺される。
元恋人も殺され、そして主人公も船上で撃たれるも、海に落ちて…

という導入部からの疾走感が半端ない。

親に捨てられ、児童養護施設に押し込められ、そこでの虐待の日々を経て、兄は精神を病み、弟は兄を尊敬し、そしてある事件を引き金として兄は弟に対して複雑な感情を抱き始める。
この複雑な感情こそが主人公が無意識に抱える闇なのだが。

君は火炎そのものだ。
魂を砕かれたまま育った者特有の昏い火だよ。
常になにかを燃やしてなければ生きていけない。


と組織のボスは喝破している。

海に落ち、警察に確保後、ここからが“ダブル”の見せ場となってくる。
顔を変え、体を変え、声をも変え、復讐のために古巣の組織へと舞い戻ってくる。

読んでいてぞくぞくしてくるのは、読者の心の底にある破壊願望を主人公がえぐり出してくるからだ。
復讐に燃えるはずが、ラスト近く、いやこのままこの組織とイケるところまでいったろかい!と、やっぱり組織に魅力を感じてしまう。
単純な善悪二元論に堕しておらず、人間のグロさ、というか自分が本当は持っているグロい部分に焦点を当てられて不快になる。

『男たちの挽歌』『フェイスオフ』『インファナルアフェア』『ザ・ミッション 非情の掟』といった男の美学に憧れる者は必読だろう。
顔を変えたり潜入したりっていう設定も同じだし。

結局は組織の中でしか生きられなかった男の物語。

馳星周の『不夜城』や大沢在昌『新宿鮫』のようなハードボイルド小説がお好きな方はぜひ手に取るべき作品。

ハードでなければ生きていけない。
ジェントルでなければ生きているに値しない。

―レイモンド・チャンドラー


男女間にも仁義ってのはあるんだぜ!

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投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2010年09月28日) | PermaLink

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