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本当に朗報? 更正の請求期間が5年に延長
発売中の週刊ダイヤモンド『相続が大変だ』をざっと読みました。
平成23年度の税制改正大綱もふまえて相続についてコンパクトにまとまっているので、相続に詳しくない方も目をとおしていただけたらと思います。

その中で、「納税者に朗報 更正の請求期間が5年に延長 非公式手続きの嘆願は廃止へ」とあります。

相続税については、基本的に、死亡した日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
「死亡後10ヶ月が申告期限」、です。

その後、この申告内容について間違いが見つかり、相続税を過大に納付していた場合には、申告期限から1年以内であれば過大分を取り戻す請求ができます。
この手続きを「更正の請求」といいます。
「申告期限後1年以内に更正の請求」
、です。

1年を経過して5年以内であれば「嘆願」という法律外の手続きによって税務署に「お願い」をして取り戻す請求をすることができます。
「申告期限後1年~5年以内なら嘆願」、です。




この「更正の請求」と「嘆願」について、平成23年度の税制改正大綱において以下のように改正案が出されています。

<更正の請求>
申告期限後5年以内

<嘆願>
廃止


非公式な方法であった「嘆願」を廃止し、更正の請求期間を5年に延長するというものです。
(非公式な方法を廃止するというものおかしな話ですが、いずれにしろ「嘆願」はなくなります)



その一方で、税務署側から「その計算はおかしい!間違ってる!」と税金を増額できる期間が、3年だったものが5年に延長されます。

まとめると以下のようになります。

<納税者側から「計算が間違っていたから税金を減らしてくれ!」と請求できる期間>
1年→5年


<税務署側から「計算が間違っていたから税金をもっと払え!」と請求できる期間>
3年→5年


<非公式な手続である嘆願>
5年→廃止



表面上、税務署側からの請求も5年に延長される一方、納税者側から請求できる期間も5年となり、非公式な手続きである「嘆願」を使う必要がなくなるので、納税者にとってはイーブンのように見えます。

が、本当にそうでしょうか?

実務上、非公式の手続きである「嘆願」は「お願い」という形式をとっていますが、きちんとした証拠があれば税務署はそのお願いを受け入れて、税金を返してくれることが多かったのが現状です。
少なくとも私の経験ではそうです。

税務署は柔軟に対応してくれていました。
実務の現場はそういうものでした。

なのに、法律という形式に拘って「嘆願」を廃止し、更正の請求期間5年と条文化する必要ってあったのでしょうか。
実務は「嘆願」で回っていたのに。

更正の請求期間を5年と条文上明確化することで、そのバーターとして税務署からの増額更正期間も3年から5年になってしまったじゃないですか。

これって税理士会が「税制建議」といって国に対して改正の要望にあげていたものなんですが、それってどうなの?って感じてます。

納税者にとっては、形をとって実を捨てる結果になっていませんか???
逆に、税務署にとっては、せっかく民を思って法律外のお願いをきいてあげていたのに、形に拘るなら、こっちも3年を5年にさせてもらうからね、と。



さらに言えば。

相続税の申告をある税理士にお願いします。
仮にA税理士としましょう。
A税理士の計算した結果、相続税は1,000万円でした。
納税者はこれを納めました。
3年後、どこから聞きつけたのか、B税理士が納税者のところへやってきて、「1,000万円は税金多いですよ。私が計算したら700万円になりますよ」と言ってきて、実際にB税理士に計算してもらったら300万円戻ってきました。
納税者はB税理士には300万円戻ってきたうちの100万円を報酬として支払いました。
納税者はA税理士に100万円損害賠償請求しました。

なんてことになるかもしれません。

A税理士は5年間更正の請求ができるのにもかかわらず、放っておいたからです。
最初からB税理士に依頼していたら不要であった報酬100万円はA税理士の責任となり、損害賠償問題にもなりかねないということです。



結局、更正の請求云々というこの改正については以下のようにまとめられるのではないでしょうか。

<得をする人>
税務署、相続税の還付専門の税理士

<損をする人>
納税者、相続に不慣れな多くの税理士




週刊ダイヤモンドは定期的に「相続」についてネタにしますよね。
相続の回は売上が好調なのかなぁ、なんて思ったりしてます。




相続税の更正の請求、嘆願について詳しく知りたい方はこちら→
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投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2011年01月21日) | PermaLink

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