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同族会社に対する『貸付債権の放棄(債務免除)』の可否
先週土曜日の15日、税務研究会主催の研修に出てきました。
資産税(財産評価)の論点(実務で最も悩み深い)『貸付債権等の評価と実務対応』とうテーマで笹岡先生にご教授いただきました。

資産税をやるなら笹岡先生の研修はマストでしょう。
今年は近くで開催される笹岡先生の研修については全て出席する覚悟でおります。

主な研修内容として。

[1]財産評価基本通達に規定する『貸付金債権』の評価方法
[2]裁決事例等による『貸付金債権』の評価事例の検討
[3]同族会社に対する『貸付債権の放棄(債務免除)』と同族会社の行為・計算の否認


資格の専門学校等ですと、貸付債権等の評価については、数分で終わってしまいます。
今回の研修も、正直、何をそんなに話すことがあるのだろうなんて思って研修に臨んだのですが、いやー中身の濃い、非常に勉強になる研修でした。



相続税を計算するにあたって、その財産に含める貸付金債権の評価方法は以下の通りです。

【財産評価基本通達204】

貸付金、売掛金、未収入金、預貯金以外の預け金、仮払金、その他これらに類するもの(以下「貸付金債権等」という。)の価額は、次に掲げる元本の価額と利息の価額との合計額によって評価する。

(1) 貸付金債権等の元本の価額は、その返済されるべき金額

(2) 貸付金債権等に係る利息(208≪未収法定果実の評価≫に定める貸付金等の利子を除く。)の価額は、課税時期現在の既経過利息として支払を受けるべき金額


【財産評価基本通達205】

前項の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。(平12課評2-4外改正)

(1) 債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)

イ 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき

ロ 会社更生手続の開始の決定があったとき

ハ 民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき

ニ 会社の整理開始命令があったとき

ホ 特別清算の開始命令があったとき

へ 破産の宣告があったとき

ト 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき

(2) 再生計画認可の決定、整理計画の決定、更生計画の決定又は法律の定める整理手続によらないいわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額

イ 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額

ロ 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額

(3) 当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおけるその債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額



よく問題となるのは、社長が自分で経営していた会社にお金を貸していたまま亡くなった場合です。
中小企業の場合、資金不足のため一時的に社長が自分のお金を会社に貸し付けている場合が多々あります。
この場合、その会社に対する貸付金は社長の相続財産を形成します。
この旨をご相談者様にお伝えすると、

「そんなもの会社から返してもらうつもりもないし、資金繰りの都合上返せない!何とかしてよ!」

と返されるのがほとんどです。
会社の歴史が長い場合、創業期からの社長貸付金は数千万円から数億円なんてことは普通にあります。
現金化する可能性が無いこの多額の貸付金を相続財産に計上し、さらに相続税を支払わなければならないのです。

ポイントは上記財産評価基本通達205の「課税時期において」「その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」です。

この2つの事実をいかに認定するかで貸付債権等を相続財産として計上するかしないか決まります。
ただ、申告期限10ヶ月という短い期間で申告書を作成して提出しなければならない税理士としては、深いところまで事実認定できず、表面的な事実をもって判断してしまっているのが現状でしょう。
いわんや、相続税の経験の浅い税理士をや、といったところです。



では、社長が亡くなる前にこのことに気付き、生前に社長の会社に対する貸付金を放棄してしまったらどうか。
この場合、会社としては債務を免除したことになりますので、債務免除益がたちます。
ただ、会社に前期以前からの繰越欠損金があるときは、この欠損金と相殺することが可能です。
当然、社長の貸付金もなくなります。

で、税務署としてはこれは見逃せられない、ということで、過去に裁判となった例があります。
昭和56年の浦和地裁です。
その裁判の中で、同族会社の行為又は計算の否認規定が論点とされました。
結論は、放棄してもokということでした。

以来、このスキームは税理士の定番となってきました。

が、最近…

というところが、今回の研修の肝でした。

相続税ってホント怖いなぁと思いました。
昨日の常識は今日の非常識である、と。

正直、私も昭和56年の判例を根拠に、クライアント様に対して債務放棄を勧めてきました。
しかし、今後は方向転換せざるを得ないでしょう。

クライアント様、ご相談者様には順次お伝えしていきたいと思います。

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投稿者 関根盛敏税理士事務所 (2011年01月17日) | PermaLink

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